【感想】そのときは、彼によろしく

2012/03/14

感想

t f B! P L
映画とゆう時間枠の問題と、物語の回想シーンの関係とで、あらすじを読んでいなくても森川鈴音を名乗る女性がトラッシュに現れてから、あまり時間をおかずに彼女が花梨なんだろうなあとは誰でも簡単に想像できる。そこを想像させることが制作側の意図ではあるものの、それに限らずストーリー全体がちょっとわかりやすすぎるなあとはやんわりと。まあそれは映画ってゆう時間の限られたフォーマットだからしかたないですね。

そんな観る側の推測からほどなくして、智史は鈴音が花梨なのだと気づく。その直後のシーンと、夏目くんとの3人での食事のシーンで出る「ずっと店にいる」ってキーワード、そのときに見せる花梨の表情とささいな反応(智史はもちろん気づかない)は、このあとに重要になってくるんだろうなあって、なんとなく。花梨はそのことで智史になにか言いたいのだろうけど、鈍感な智史は花梨に部屋を勧めたりして、2人の心のなかや価値観が錯綜しているのがおもしろいところ。

「あのころに戻れたらいいのに」「あの町で過ごした一年間を、何度も何度もくり返せたらいいのに」 智史の父親に自分の内情を告げる花梨のシーンや、中盤から登場する佑司のエピソードは、心を揺り動かすには少しもの足りないとゆうか、つくりこみ方として感動を煽るのがあからさまに見えてしまい、意識して「物語をつくってる」感が表に出すぎてしまってる。

でも、佑司の病院を訪ねたあとに、あの町の駅から智史だけが電車に乗るとき、言いかけた智史に「もう戻らないと思う」と言った花梨のシーンは印象的で、「智史に会えてよかった」ってゆう究極のセンチメントなセリフは、智史に聞こえない「さよなら」につながって、(まあここで入る音楽がありがちだったのだけど)物語を観る人の気持ちをぐんと押し進めてる。父親に花梨のことを告げられたあと、訪れた廃バスのなかで花梨の「さよなら」がきちんと智史に届いたのはすばらしいプロットだったなと。花梨のメッセージに智史はよく気づいたよなあ。

ひとりのしあわせな少年の何気ないひとことが、病気を抱える女の子に生きる希望を与えたなんて、疑いたくなるような話だけど、そうゆうことってあるんだと思う。なにか他人より不幸せなものを持っている人って、月並みな幸せを感じている人とは感情の感度が違うもんね。

ところどころ詰めが甘いなあって感じられる設定はあったものの(子どもだった智史がひとりであの町の駅から列車に乗ったり、店の掃除はしているはずなのに花梨の落とした薬が何日も残っているのは変だよね)、たぶん2時間ってゆう枠のなかでこの話をナチュラルに構成するには、多少無理をしないと詰めこむ要素が多すぎると感じた。それが最初に書いた「わかりやすすぎる」の理由なんだと思う。演出のひとつひとつが物語に直結するものだから、それをつなぎあわせたら、おおまかなストーリーはつかめてしまう。余裕を持って観られる場面が少なかったなあ。

エンディングで、智史がトラッシュに帰ってきたとき、あうゆう展開になることはきっと誰にでも予想できる(鋭い人は雪が降ってきた時点でそう考えるかも)。でも、簡単に終わらずに、花梨が夢の話をすることで、きちんと印象に残る終わり方をしていた。観る人の想像に頼る無責任な安い余韻はまったくなかった。映画のタイトルをラストでもう一度使ったのも、作品内での人間関係がより強く明確になっていてよかったと思う。小日向文世さん演じる遠山悟朗がただの「主人公の父親」に留まらない重要な役柄を担っていたんだなと。物語のストーリー自体がもともと想像しやすい話だから、そこをこうやってアウトプットした制作関係者のみなさん、大変だっただろうなあ。

このブログを検索

自己紹介

自分の写真
好きな言葉は「アイスクリーム4割引」、嫌いな言葉は「ハーゲンダッツは対象外」です。趣味はドラえもん考察。読売ジャイアンツのファン。高2のとき現代文の全国模試で1位に輝くも、数学に関しては7の段があやしいレベル。

お問い合わせ

名前

メール *

メッセージ *

QooQ