六華苑・十六夜コンサート

2012/10/02

感想

t f B! P L
行ってきました。というか、なんか勝手に僕も行く前提で朝早く母からメールがきました。ので行ってきました。花井悠希さんのコンサート。

まず、フライヤー「花井悠希&ピアノ」て


スライ&ザ・ファミリー・ストーンばりのまとめっぷり。ひとりなんだからどうせ書くなら名前載せればいいのに。林そよかさん怒っちゃうよ。


とはいえ、台風一過。なんとか天気には恵まれたものの、花井さん言うようにぜんぜん見えなくて趣きもなにもない十六夜の月。曇り。でも音楽の力はすごいですね。ずっと念じ続けた結果、最後にはきちんときれいなお月さまが現れました。まあ僕の席からは樹の枝葉がかぶさっててどっちみち見えなかったんですけどね、HAHA!

演奏のほうはというと、心が安らぐような音楽ではありませんでした。でもそれはなにかを掻き立てるような音楽だったってわけでもなくって、もっと正体の違うもの。

人ってそれぞれの心に抑揚があると思うんです。たとえば、「今日まで仕事ばかりで憂鬱だったけど、明日から三連休!」とか「午前中は調子よかったのに昼すぎから胃が痛い…」とかみたいな、心に張ったテンションの強弱、気持ちの上がり下がり、躁鬱みたいなもの。「あれをしてるときの俺って輝いてる!」「あいつと会ってるときは根暗な自分だなー」そういう抑揚の振り幅を大きくしてくれるような演奏でした。

朝の湖畔みたいに、“なにもない”静かな水面に波を起こすんじゃなくって、あくまで最初から波打ってはいるんだけど、その大きさのメリハリをつける音楽。楽しい気持ちはとことん楽しく、哀しい感情は底抜けに哀しく。心のなかにだれでも持ってる「波」を、ハイコントラストで鼓舞してくれる。

だから、落ち着いて身をあずけられるような安心感もないし、なにもない状態からなにかを奮い立たせる情熱もない。だけど必ず心のなかにある感情の起伏を、引き伸ばしてくれるって感じ。

…って聞くと、楽しいぶんだけ哀しくなるって印象を受けるから、プラマイゼロなんじゃないの?って思うかもしれないけど、それもちょっと違って。

楽しいのはもちろんいい。ポジティブになれば調子は上向くし、いろんなことがいい方向に転んでく。でも、哀しいのだって、結果的にはものごとをプラスにする力がある。

精神的にドン底で、なにもかもがうまくいかなくって、哀しみの果てに泣いてばっかってとき、そんなときにしか見えない景色だってあると思うんです。だから僕は、哀しいことがあっても無理にポジティブになろうとしない。ネガティブを貫いて、そこからしか見られないものの見方とか、考え方とか、価値観とかをじっくり観察する。ネガティブって、思ってるほど長続きしない。そうやって少しずつ楽観的になれたら、あんなにつらかった日々が思い出に大変身を遂げるってことも知ってる。どんな不幸せもいつか懐かしさになる。貝がその殻のなかに含んだ小石が真珠へと変わるように。

花井さんたちの演奏を聴いてると、そんな気持ちの起伏を大きくしてくれて、感情の感度をあげてくれるようだった。ポジもネガも敏感に感じることができる。「アーミー・ドリーマーズ」なんかにはとくにその不安定に揺れる気持ちをこれでもかってくらいゆすられた。そこに、ネガはネガなりの見え方があって、それがポジにつながって、いつかは笑えるようになること。僕が20年ちょっとの人生で得た大切な真理がひとつあった。

僕は高校生のとき不登校児だったからさ。つらいことをうんと経験したことがある。自分が学校に行ってないあいだに残酷なくらい進む授業についていけなくって、クラスメイトとも溝ができて、それでも心配してくれる友達が何人かいるなかで、彼らの期待に応えられないふがいなさもあって。授業はサボる、課題はやってこない、テストの答案は白紙で出す。出席日数と単位だけを目的に学校へ通う。それがあたりまえだった。留年だって目前の問題だったし、学校を辞めることだって何度も真剣に考えた。「卒業する」と大きく書いた目標をたった3日で破り捨てる情けなさも自分の弱さも、口ではなんとでも言える精神論のもろさも身体に沁みこんだ。でもそれらだって過ぎてしまえばなんとやらで、いまとなってはずいぶんといい思い出だし、不登校になってよかったなとさえ思ってる。ネガティブを知ったからこそポジティブになれた。僕は17歳のころの哀しみといま感じる楽しさを花井さんたちの演奏に重ねていました。

もちろん花井さんたちは僕の個人的な不登校歴なんて知る由もないから、またべつの意図としての選曲だったりアレンジだったりがあったのだろうけど、僕はなんだかんだで感傷的になった夜でした。高校楽しかったなあ、って思い返したりしてさ。うーん、「生涯最後の10年の代わりに、高校時代の3年間がほしい」だなんて、言い出した人は素敵だね!

このブログを検索

自己紹介

自分の写真
好きな言葉は「アイスクリーム4割引」、嫌いな言葉は「ハーゲンダッツは対象外」です。趣味はドラえもん考察。読売ジャイアンツのファン。高2のとき現代文の全国模試で1位に輝くも、数学に関しては7の段があやしいレベル。

お問い合わせ

名前

メール *

メッセージ *

QooQ