プロ野球カメラワーカー

2015/04/19

essays

t f B! P L
日曜の真っ昼間から野球中継を観ていて思うことがある。いや、べつにデイゲームだから気づいたとかじゃなくて、単純に今日いましがた気になっただけなのだけど。

ゲームの進行につれ、一球々々を追うように画面がスパスパと切り替えられる。あの作業は、そうとう高度な技術にもとづいていると思うのだ。

たとえばピッチャーが球を投げる。そもそもピッチャーの背後からバッターを見据えるあのカットのカメラはどこからどうやって撮っているのだろうと気になる。外野フェンスにカメラなんてない。しかし、あの構図を撮るには、どうしても同平行線上にカメラを設置する必要がある。バックスクリーンにでもあるのだろうか。ファウルグラウンド平面上にあるスポーツ新聞の取材記者席とかからは、あの画は撮れない。

まぁそれはともかくだ。投げた球を、もちろんバッターが打つ。一塁側スタンドにファウルフライがあがるかもしれないし、三遊間を痛烈に抜けるライナー性の当たりかもしれない。ボテボテの当たりがセカンド正面に転がるかもしれないし、レフトとショートのあいだに絶妙に落ちるポテンヒットがでるかもしれない。ワイルドピッチやパスボールでキャッチャーがうしろに後逸する可能性だってある。

それを、瞬時にどこに飛んだかを視認してカメラを切り替えるのは、いったいどういった作業体制でおこなわれているのだろうか。打球なんてどこに飛ぶかわからない。ライナーもあればフライもあるし、ゴロもあれば三振する可能性だってある。

三振ひとつとっても、空振り三振だったら「くやしそうなバッターの表情」を映すことが多いだろうし、見逃し三振だったら「ガッツポーズをキメるピッチャーの気迫」をとらえるだろう。おなじ三振でも、バットを振るか振らないかを瞬間的に見極め、バッターとピッチャーのどちらを映すか状況に応じて判断する。なかなかの離れ業だ。

ファウルフライにしたって、ポールぎわまで飛ぶホームラン級の大ファールから、スタンド席へのフライ、ネクストバッターズサークルなどのあるファウルゾーンへの打ち損じ、バックネット直撃の後方への打球、…とさまざまなファウルがある。それを、タイムラグもなく映しだすモニタリング、もはや神業に近い。

だってピッチャーが投げる球だけでも130km〜160kmくらいでてるんだぞ⁉︎ ライナー性の打球なんか時速何百キロの速さなのか見当もつかない。守備についている内野の選手でさえとっさの判断の差異でボールをはじくことがあるくらいなのだから。

打つ。速いライナーがサード強襲、それとともにカメラも三塁まわりのカメラに切り替える。かと思いきや、あまりの痛烈な打球に三塁手が捕球できずレフト前ヒットに。なるやいなや、カメラもレフト方向のカメラにすばやく切り替わる。すかさず「打ったバッターが一塁ストップ」という情報を確認すれば、カメラは一塁上でプロテクターをはずし走塁の準備に入るバッターランナーを映す。展開しだいで、「さぁ同点のランナーが出ましたタイガース8回表の攻撃」とか「さぁノーアウトでサヨナラのランナーが一塁」とかで、マウンドに集まる内野手やピッチングコーチ、グラブで口元を隠しながらなにかバッテリーがサインの確認をするシーンも映す。

しかも実況や解説の方がしゃべるのに合わせて、話題にあがっている選手を映すときもある。よく実況のひとが「さきほどは亀井、あー、いまちょうど映っている亀井のファインプレーで救われましたジャイアンツ」とか「7回には代打の高橋由伸、あー、いまレフトの守備についていますね、のタイムリーで同点に追いつきましたジャイアンツ」とか言っているのをタイミングよく目撃する。機転のきいたカメラワークだ。

もっと言えば、内野ゴロでスリーアウトになって攻守交代の際。たとえばつぎの攻撃が読売ジャイアンツで、先頭打者が外野手の長野選手だったとする。だいたい攻守交代のあいだにCMやニュースをはさむことが多いのだが、そのとき、平凡な内野ゴロをさばいた一塁送球アウトのシーンの直後の、CMやニュースに入るまでのほんの数秒、そこに、外野から走ってベンチにもどる長野選手を追っかけていることもある。完全にゲームを把握している。つぎの回の先頭打者もおさえて、なおかつ試合全体図も映し描くカメラワーク。すばらしいのひとことしかない。

どういったモニターで確認しているのか、何人体制でおこなっているのか、さっぱり見当がつかない。やっぱりそれなりの経験のある職人が執りおこなっているのだろうか。経験を積んでいない新人は二軍の試合とかで実績をあげるのだろうか。うーん。

プロ野球カメラワークの謎は深まるばかりである。

このブログを検索

自己紹介

自分の写真
好きな言葉は「アイスクリーム4割引」、嫌いな言葉は「ハーゲンダッツは対象外」です。趣味はドラえもん考察。読売ジャイアンツのファン。高2のとき現代文の全国模試で1位に輝くも、数学に関しては7の段があやしいレベル。

お問い合わせ

名前

メール *

メッセージ *

QooQ