タイトル、そのタイトル

2016/02/01

t f B! P L
「どうやら、春日太一さんとサンキュータツオさんが1月末に共著でBL本を出したらしい」

僕にあたえられていた情報はこの断片的なぼんやりした事実だった。しばらく本屋に立ち寄ることがなかったため今日までもつれたけど、ほんとうなら発売初日に本屋に走ってもよかったくらいの一冊だ。知らない世界を知るのはたのしい。興味のないジャンルに手を出すのも、著者がなじみのあるかただと入りやすい。

で、肝心のタイトルを僕は調べていなかった。もういちど言うけど、僕が知っていたのは「春日太一さんとサンキュータツオさんが1月末に共著でBL本を出す」という部分だけで、なんとなく本屋に行ったら置いてあるかなぁ〜ていどの心がまえでおもむいた。タイトルを知らずに。

本屋の単行本の新刊コーナーをザッとみても、ひとまずここには置いてなかった。フツウの棚を「あ行」から探そうにも、共著だから「か」なのか「さ」なのかよくわからない。じゃあどこを探せばあるだろう?と思うものの、春日さんは時代劇だったり映画だったり研究者としてご活躍されてて、タツオさんもタツオさんで芸人だったり学者だったり非常勤講師だったりと、お二人とも多岐にわたる分野で日ごろ見かけるから、まずカテゴリーがしぼれない。だったらケータイで調べろというはなしなのだけども、それが通用しないのがアナログ人間である僕でして。

手っ取り早いのはやっぱり店員さんに訊くことだろう、とまぁ当然のごとく思う。タイトルも知らないし、どこにあるかもわからない。くりかえすけどこの時点で僕のあたまに「ウェブ検索をかけろ」という思考は存在しない。だって店員さんに訊けば機械でサッと調べてくれてサッと在庫確認してくれてサッと持ってきてくれるんだもの。

「すみません、本を探しているのですが、春日太一さんとサンキュータツオさんの共著で1月末に出ている………」

すかさず店員のお姉さんがメモをとる。「本のタイトルはお分かりでしょうか?」
「それがわからなくて…」
「あっ、そうなんですね。えっと、カスガ…?」
「春日たい……あっ、えーっと春に日で春日、タイチは太いに漢数字の一です」
「かしこまりました。サンキュー…さんのほうはカタカナで?」
「あ、はい。ぜんぶカタカナでサンキュータツオです」
「わかりました。あ、在庫が一点だけありますね。お持ちしますので少々お待ちください」

ほぉら。名前の伝聞にすこし時間かかったけど、このほうが自分で探すより早いのさっ。と、だれに向けるでもない得意げな満足感を感じつつ、どんな表紙だろう、どんなタイトルだろう、と空想をふくらませる。まさかこの直後に

「こちら『俺たちのBL論』でよろしかったでしょうか?」

というド直球な確認がせまってくるとは思いもせずに。

いやまさかね、BL本とは知っていたけど、そして現時点で自分これっぽっちもBL興味ないけど、まさかここまで思いきりタイトルに『BL』を冠してくるとは予想外だったから。もうすこしオブラートにつつんでくれていると思っていたから。わぁ、なんかもう店員さん探して持ってきてくれて。見てみるとあらま、なんだかすごい知的な参考書みたいな装丁で。でもなんだろうこの照れる感じ。ちょっとした恥ずかしさにも似たこの感覚。

まだ読んでないのだけど、これから読むのだけど、なんとなくこのくすぐったい感情が、自分がBLの世界に足を踏み入れた証拠なのかもしれないな。

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好きな言葉は「アイスクリーム4割引」、嫌いな言葉は「ハーゲンダッツは対象外」です。趣味はドラえもん考察。読売ジャイアンツのファン。高2のとき現代文の全国模試で1位に輝くも、数学に関しては7の段があやしいレベル。

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