出処のあまいソース

2016/05/15

t f B! P L
生まれて初めて、本を捨てた。

いままでは売るとか譲るとかで処分していた。それなのに、とある本を先日捨てた。というのにも理由があって。ちょっと聞いて。

詳細は省くけどいわゆる雑学本だった。著者を盛大に批判するので実名は出さない。というかもはや憶えてない。

雑学本だけに、ふむふむ、ほうほう、と読み進めていた。疑問質問形式でそれに答えるかたちで雑学が山のように掲載されていた。意外と知らない事実が書かれていたり、そうだったのか!と驚く名前が書かれていたり。でも、雑学のジャンルが「音楽」に入ったところで、それらの事実や名前は抹消されることになる。

「音楽」ジャンルのなかの「J-POP」の章を読んでいたら、こんな雑学が出てきた。「“ヴィジュアル系”の名前の由来は?」

もちろん僕は知っている。ヴィジュアル系の名前の由来は、かのレジェンド・スーパー・ショッキング・クール・ビューティ………あとなんだ、カリスマ・ヒーロー………全部いれる、ウルトラ・ロック・バンド=X JAPANだ。

Xが『BLUE BLOOD』というアルバムのコピーにつけた「PSYCHEDELIC VIOLENCE CRIME OF VISUAL SHOCK」がヴィジュアル系の元祖だと言われている。そんなことは知っている。だからその雑学本にも「ほう、君はどんな解説をしてくれるのだい?」と挑戦的な姿勢で読み始めた。が! 1行目を読んであきれた僕はその本を捨てることになる。1行目の書き出しというのが以下だ。

──ヴィジュアル系と聞いて思い浮かぶのは、ラルクアンシェルとGRAYだろう。

ハァァァン⁉︎ と、その筋のひとなら感じるにちがいない。だって「ラルクアンシェル」「GRAY」このふたつの単語にツッコミどころが満載なのだから。

まず「ラルクアンシェル」、これはもう禁句と言ってもいい。そもそも正式な表記は「L'Arc〜en〜Ciel」で、俗称が「ラルク」というものだ。彼らをカタカナ表記にするときは「ラルクアンシェル」ではなく「ラルクアンシエル」と言うことに注意しなければならない。おわかりか? おわかりか? 「シェル」じゃないぞ? 「シエル」だぞ?

これには過去のラルクの呼びかたに関する事件に由来する。某テレビ番組の某司会者にラルクが「L'Arc〜en〜Cielってなんて読むの? シェル? シエルなん? どっちでもええわ、おまえらラルクアンシェルな」と言われたことにメンバーが激怒した出来事がある。これを知っているなら、ラルクのことを「ラルクアンシェル」と表記するのはご法度だ。

まぁもっとも、これはすこしマニアックかもしれない。著者も知らなかったのだろう。

だがしかしGRAY。ひょっとしたらその筋のひとでなくともわかる層もいるだろう。そんなバンドはヴィジュアル系には存在しない。正しくはGLAY。スペルが「R」ではなく「L」だ。そんなこともはや国民的といっても過言ではない周知の事実だ。しかしこの著者は英語のスペルどおりご丁寧に「GRAY」と表記していた。

オイオイオイなにも知らねぇのかテメェ。GLAYというバンド名は英語の「gray(灰色)」をもじった造語なんだぞ? もっと言えばGLAYのTAKUROさんはビートルズのファンで、ビートルズが「beetle(かぶとむし)」と「beat(ビート)」をかけて「The Beatles」と造語で名づけたことに由来しているんだぞ? ちなみにかぶとむしは英国では毛嫌いされていて、ビートルズは「名前を聞いたら『かぶとむし』みたいな気持ち悪い虫を想像するだろうけど、音を聴いたらビート感満載のイカすバンドって意味さ」と語っているんだぞ?

もちろん、はなしの運びかたはわかる。「ヴィジュアル系ってラルクとGLAYが有名だけど、じつは彼らの先輩のX JAPANってバンドのキャッチコピーから生まれた言葉なんだよ」と行きたかったのだろう。

でもそこのソースがあますぎるだろう! と声を大にして言いたい。そんな事実と異なる枕で始まる雑学、信ぴょう性が薄すぎる。ほかの雑学もどんな間違いがあるかわからない。

そんなわけでその本は捨てた。もういちど言うけど本を捨てるのは生まれて初めてだ。こんな本、知識本として世に出版されていると思うだけで背筋が凍る。


しかしこないだ市の図書館で雑学コーナーを眺めていたらその本が蔵書として置いてあった。世も末だ。

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好きな言葉は「アイスクリーム4割引」、嫌いな言葉は「ハーゲンダッツは対象外」です。趣味はドラえもん考察。読売ジャイアンツのファン。高2のとき現代文の全国模試で1位に輝くも、数学に関しては7の段があやしいレベル。

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