僕自身、イベントのお誘いやある種の決断に対して「ノー」と言うことが多い人間なので、ジム・キャリー演じるカールのこのあまりにも極端な選択は、僕のこれまでの人生のありかたを顧みるきっかけにもなった。幸か不幸かあらよっと。
たしかに、居心地の良い場所に落ち着くのも悪いことじゃない。それはときとしていいことかもしれない。でも、居心地の良い場所はぬるま湯かもしれない。ポジティブになんでも受け入れていくっていうのが、生活を豊かにするためのヒントであることも、それはじっさいのところたしかであって。
だってさぁ、カールが「イエス」と答えていった結果の飛行訓練や韓国語、そしてアリソンとの無計画旅行が、テロに結びつくんだから。物語が終盤に差しかかるころにカールとアリソンに着せられるあの濡れ衣は、映画のストーリーを一転させるためももちろんあるけれど、同時に僕ら観る者に対して「たとえば『イエス』と答えてるだけでも、『テロ』みたいなおおきなアクションを起こせるんだぜ!」と訴えかけているようにも感じとれる。いやまぁ、さすがにテロは誤った方角だけどよ。
アメリカンジョークとも言われるお国柄、ユーモラスなセリフの数々はコメディとしてのセンスにあふれてる。もともと「Yes or No」がテーマのこの映画、その黒か白かの極端さは、中途半端な青も赤も緑も許さないその過剰な演出で、よりいっそう魅力を引き立ててる。ましてやスケールがアメリカンサイズ。公道の暴走にしても、バンジージャンプにしても、ジム・キャリーの演技はすばらしい。
それからズーイー・デシャネルのキュートさね。バイクに2人乗りしながらチェキ撮るすがた、空港での待ち合わせ、雨小屋でのシーン。おもわずキュンとくる魅力がありますね。
アリソンとのことで落ち込んでるカールが、親友ピーターのブライダルシャワーのためにひと肌脱ぐあのシーンがとてもすき。以前までのカールだったら「ノー」って答えてた。でも、もうちがう。確実に、カールはいい方向へと人生を歩んでる。「イエス」はひとを変える。
でもこの映画の好きなところは、決してノーも否定しないこと。ノーと答えたら、階段から転げ落ちるかもしれないけれど、それは自分に嘘をついたからであって、ノーがダメなわけじゃない。イエスもノーも大事なんだと思う。でもやっぱりこれを観ちゃうとつい言いたくなるよね、「イエス」。
東進ハイスクールの林修先生の名言ですね。「いつやるの? 今でしょ!」。まずは無条件に受け入れることの大切さ。それは僕にとっても大事な主題として、観終えたあとも心にのこるわけでした。おしまい。
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