ももクロを完成させた有安杏果の生きざま

2018/01/21

music 感想

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ももクロの緑、有安杏果(ありやす・ももか)。149cmの身長から繰り広げるパフォーマンスは、ももクロの「小さな巨人」と称される。

彼女は、ももクロのメンバーのなかで、いちばん人間くさい。

ももいろクローバーZのメンバーは、それぞれの得意分野こそ違うが、各ジャンルにおける「バケモノ」である。ここでは特筆しないが、突出した才能才気で、そのキャラクターを開花させている。ももクロの総合演出である佐々木敦規が言っていることは、正味に間違いない。

そんななかにあり、有安杏果だけはそうではなかった。有安は、自分の長所や武器を簡単に見つけることができなかったように思う。それは有安が現メンバーの中で、いちばん最後に加入したメンバーであるということにも、一因はあると思う。

どんな組織においてもそうだが、ある程度出来上がっている組織に後から入るのは非常に難しい。

すでに制限されたメンバーの渦中において、だれとも被らない個性を探さなければならないし、周囲からもいままでその組織内にはなかったある種の潤滑油としての役割を期待されるからだ。

そして、アイドルグループの場合は、新メンバーに対するファンからの懐疑的な意見が当然ある。有安のときにも少なからず、そんな声もあった。しかしこの出来事は有安自身の問題ではもちろんなく、早見あかりを含むそこまでの5人こそが、ももいろクローバーなんだという、信仰心に近いファン心理から来るものだったのではないだろうかと思う。

しかし、EXPGで身につけた有安のダンスと、これまでのももクロになかった芯のある歌声は、ももいろクローバーZというアイドルグループには必要なピースだったし、実際事実、そういう打算のもとに見えた加入だったと思う。

とはいえ、有安にとっては、自分が本当に「ももクロ」になるまで決して言えない心労があっただろうことは容易に拝察できる。ファンに受け入れてもらうにはどうしたらいいか。後発のメンバーであるハンディを払底する処世術はないだろうか。その努力にかかる涙の重さを、テレビのこちら側から、ステージの下から、我々が推察してはあまりに値が安いくらいに、たくさん、たくさん、泣きながら。 

その涙は、しかし美しかったに違いない。そのことを知っている大勢のフォロワーが、いまでも彼女のファンでいる。

有安杏果は、努力する姿がもっとも輝いて見えるアイドルだ。

ライブのMCではだれよりもよく泣く。プレッシャーに耐えきれずに声も出なくなる。伝えたいことが多すぎて話が長くなる。結局なにが言いたいのかよくわからなくなる。そんな姿を見せ続けた結果、有安はももクロのなかで、ファンにとっていちばん身近な存在になった。 

人間だれしも、生活において泣きたいことだって出てくるし、体調だって崩すこともある。伝えたいことを上手に伝えられないことは、僕らにだってある。

有安に自分を重ねる、なんておこがましいことじゃない。有安ががんばっているから僕らもがんばれる、なんて安い話でもない。 それらは彼女の努力を無下にする無礼に値する。

わかっている。それでも、「ピンキージョーンズ」のなかでそれぞれの名前の入った歌詞が割り当てられているパート。杏果(ももか)の部分の歌詞を聞くたびに、僕らはやはり心を動かされてしまう。

シャイニー、雲も輝くよ
(シャイニー、くモ・モ・カがやくよ)

雲も輝く、という無謀にも近い儚い願望。それでも、有安がこのフレーズをうたうとき、いつか、そんな日が来るんじゃないか、とも思えてしまう。

有安杏果は技術や才能で表現するのではなく、生きざまで表現できる強い説得力を手に入れた稀有なアイドルである。その努力と涙でもってももクロを完成させた有安は、そしてステージをあとにする。

お疲れさま。卒業、おめでとう。

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好きな言葉は「アイスクリーム4割引」、嫌いな言葉は「ハーゲンダッツは対象外」です。趣味はドラえもん考察。読売ジャイアンツのファン。高2のとき現代文の全国模試で1位に輝くも、数学に関しては7の段があやしいレベル。

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