映画を観るのが苦手な人間のはなし

2018/10/01

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お世話になっているあるひとに、「あなたにはきっと私が見ているものも、違うふうに見えているんですね」と言われた。

僕は視点がおかしいとはむかしから言われる。物事において解釈を試みる際に独自として着眼するポイントが、一般的なひとのそれとは若干ずれている…と言ったら、なんだか「普通じゃない俺アピール」みたいで気に入らないが、実際ずれているんだからしかたない。

そんな僕は映画を観るのが皆目ダメだ。もうホントに、どうしようもないくらい映画を観るのがヘタクソだ。

映画館の年間会員になっているかたや、年間500本以上の映画を観るひとを知っているけど、彼らは僕からすれば恐ろしいほどの熱量で映画を観る。話題だからとか、流行ってるからとか、映画観てる俺カッコいいとかではなく、純粋に映画への愛でもって数々のフィルムをこなしてきているから、本当に脱帽である。

「評論概論」という授業があった。学生時代にパンキョーで受けた授業だけど、赤点をもらった可哀想な過去がある。小説、詩歌、絵画、映画などを鑑賞して、いかに単独自立した視点で物事を見れるかという論評合戦みたいな授業だったが、僕はなかでも映画の論評ができなかった。

理由はいまでも詳細にはわからない。映画を観るのが下手なのは両親の遺伝だがそれのせいにはできないので、精一杯に自分なりに分析したところ、僕は要するに浅学にして知識がまるでないことがわかってきた。

いろいろなポイントに気づきはする。ただ、いかんせん知識がないから、それらを体系的に組み立て直せないのだ。このシーンでこの描写をするのには、監督のどういった意図があって、作品がどういった立ち位置から、どういった目的と意味が込められているのか。学生時代に「評論概論」で同年代の学生が平然とかけたレポートが、僕には書けなかった。そのころから映画についてはコンプレックスが必ずついてまわる。

たとえば、僕はディズニー映画『アナと雪の女王』が最初わからなかった。主題歌であり、物語の中核を担う「レット・イット・ゴー」が、最初どうしても理解できず、物語の進行がまるであたまに入ってこなかったのには、先行配信されたこの歌を映画よりさきに聴いてしまったせいもあるだろう。とはいえ、この「レット・イット・ゴー」は、街を見渡しゃあレリゴーレリゴーと子どもから大人までうたっているにもかかわらず、解釈にはイントロからつまずいた。

Fm / DbM7 / Eb / Bbsus4→Bbm

Fm / DbM7 / Eb / Bbsus4→Bb

最初の2小節は最後がBbmというマイナーコード(悲しい響きのコード)になっているのにたいし、最後の2小節は最後Bbというメジャーコード(明るい響きのコード)になっている。いったいなんで?

コードのダイアトニックで考えたらBbmが当てはまるのだろうけど、sus4はメジャーコードにもどる習性がある気がするから、うーん、どっちも音楽的には当てはめられるのか…ぶつぶつ…。と、納得しきれない思いで、ギターでこのイントロのフレーズを弾いてみた。

すると、一小節目では半音ずつ動いていったメロディが、二小節目では一音まるまる動いていることに気づいた。三小節目は、一小節目とよく似ていながらも、メロディ自体は上行にたいして下行をなぞっており、なかなか不安定というか、逆手に取れば芸が細かいというか。そして極めつけにBbm(マイナーコード)からのBb(メジャーコード)である。

これが、主人公エルサの心情をあらわしているのだと解釈できるまで、何ヶ月もかかった。メロディの半音移動と全音移動、上行と下行で不安定な響きを出したのは、(まぁディズニーのことだから芸が細かいといっても間違ってはいないんだろうけど)エルサの揺れる気持ちをイントロだけで表現していたんだ。そして二小節目はマイナーコードであるBbmを使ったにもかかわらず、四小節目の最後はメジャーコードであるBbで解決したのは、「レット・イット・ゴー」というこの歌がエルサの決意表明であることを考えたら、最後くらいは希望のみえる明るいコードにしたほうが作品の意図としてマッチすると考えられたのだろう。

つまり、イントロのたった四小節で、ディズニーは、イディナ・メンゼルにうたわせるまえに、この歌とこの作品の目的、そして登場人物の感情を表現していたのである。

こうしてもやもやが晴れてからは、映画の主題もメッセージもすらすらと読み取ることができた。しかし、こういう遅すぎるステップを踏まないと、僕は映画が理解できないのだ。そりゃあ、「評論概論」も不可で返ってくるよなぁ。

こういった現象は僕にとって日常茶飯で、映画を観るたびにつまずくポイントなのだけど、要するにだいたいのことは知識が解決してくれるのだ。

監督の意図、作品の背景、描写の位置付け、場面の経過、こういったことを僕が体系的にまとめて整理し、理解できるのは本当に映画ドラえもんシリーズくらいなもんで、そんな僕はやっぱり知識不足以上に映画を観るのが下手なんだと思う。「評論概論」が不可成績だったんだ、それは間違いない。

だからまぁなにが言いたいかというと、映画にたいするコンプレックスがあるよってだけで、なにも建設的な解決には至ってないのだけど…。観たい映画やおもしろそうな映画はたくさんあるのに、観るの下手だなんて歯がゆいね。時間芸術って意味では読書よりもハードルは低そうだけど、それでもなんか、やっぱりなあ。

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好きな言葉は「アイスクリーム4割引」、嫌いな言葉は「ハーゲンダッツは対象外」です。趣味はドラえもん考察。読売ジャイアンツのファン。高2のとき現代文の全国模試で1位に輝くも、数学に関しては7の段があやしいレベル。

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