ロックバンドからの便りに、泣いてしまったはなし

2020/10/12

essays music

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 ライブを観て泣いたのは、いったいいつ以来だろう。


UNISON SQUARE GARDEN Live Tour USG 2020 LIVE (ON THE) SEAT。新型コロナウイルスへの感染症対策を徹底したうえで実施される、いろいろなことがはじめてのツアー。着席厳守、歓声禁止、マスク着用、検温や消毒の実施など、これまでの常識が、いっさい通用しないツアー。


しかし考えてみれば、かつてユニゾンの音楽に常識などあったろうか。


コール&レスポンスがあたりまえの、空間一体型のライブが圧倒的ないま、オーディエンスをまったく煽らず、手拍子や楽しみかたを本質的に自由としている。ロックの前線でうたいながら極めて異端なスタイルを貫いてきた。


そんなUNISON SQUARE GARDENが、生活のルーティンワークのひとつかのように僕たちの町にやってきて、歌をうたってくれる。


特別なことはいらなくて、繰り返していく毎日の一部として、ただただ愚直に音楽を続けているロックバンドが、こうして身近で音を鳴らしてくれることへの感謝は、本当に計り知れない。


オープニングで始まった次に投げ打たれた2曲目、不覚にも泣いてしまった。ライブで泣いたのは本当に久しぶりで、自分にまだそんな感覚が残っていることに驚いた。


感情を煽られたというより、自然と涙が出てきた感覚に近い。UNISON SQUARE GARDENにもきっと、そんな仰々しい扇状意識はなかった。


斉藤宏介はこのツアーについて、あくまで自分たちが元気に音を鳴らしていることを報告するだけのライブだと話した。しかし、ロックバンドに救われている人間にとって、あくまで元気に彼らが音を鳴らしているそれだけのことが、いったいどれほど嬉しいか。


動いてる。


息をしている。


ロックバンドが生きている。


たったそれだけの便りにすぎないはずなのに、そのちっぽけな事実がたまらなく嬉しくて、涙がとまらなかった。


おなじ空間において、ロックバンドと僕たちがいて、ステージの上で、マスクの下で、おなじ呼吸を共有している。おなじ時間に、おなじ音を、等しく楽しんで生きている。


実感と、それにともなう感傷で、ぐっちゃぐちゃの顔をしていたはずだ。マスクをしていて、ちょっとだけよかった。だれも見てないけど。


田淵智也は以前、「ステージから目を離さなければ、それだけのものを返すつもりでいる」という趣旨の発言をしている。UNISON SQUARE GARDENは、ステージさえ見ていればいつもそれだけの、いや、それ以上のものをくれる。


でもごめん田淵、今日だけは、涙で滲んでたかもしれない。


本当に楽しかった。観れてよかった。わずかな時間でも生きている報告を、してくれて嬉しかった。


1時間と短いステージがこんなにも多幸に満ちていたのは、メンバーもスタッフもオーディエンスも、等しく純粋にこの空間を楽しもうとしていたからだろう。もちろんそれ以前に、感染症対策に抜かりなく日常を過ごしていることにも敬意を示そうと思う。


930日に無事ドロップされた8枚目のアルバム『Patrick Vegee』のリリースツアーは、やがて改めて告知されることが予定されている。本当にあくまで無事健康の便りとしての一日だった。でもその一日が、代用の効かない大切な日になった。


ありがとう、UNISON SQUARE GARDEN


See You Next Live」その約束ぜったい守ろうぜ。

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好きな言葉は「アイスクリーム4割引」、嫌いな言葉は「ハーゲンダッツは対象外」です。趣味はドラえもん考察。読売ジャイアンツのファン。高2のとき現代文の全国模試で1位に輝くも、数学に関しては7の段があやしいレベル。

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