愛と感謝のセプテンバー30th

2021/09/30

essays

t f B! P L
毎年9月30日はポッドキャストの日だ。だれが決めたか知らんけど、いつ決まったのか知らんけど。

2007年、15歳のときに同級生に教えてもらってその存在を知って以来、人生でダメだった時期を何度となく救ってもらった奇跡の音声配信サービスである。一度は終わったコンテンツ(のようなもの)だが、近年また盛り返してきて、SpotifyやGoogleなどを通じて再び活性化している。

15年。本当にながいあいだ、このサービスに救われてきて、僭越ながら自分たちで配信もした。ポッドキャストがなかったら生きていないくらい真剣な数値で人格形成に多大なる影響をいただいてきた。今回、その一部を、日付が変わるまで書き残そうと思う。

尊大なる駄々話たちに感謝をこめて。

空前なる無駄話たちに愛をこめて。




ゆとりの品格


この番組なくしていまの僕はいない。中高一貫の都内の男子校時代から親交のある岡野と福田の二人による、ANNやJUNKの系譜をシンプルに継いだエピソードトーク型ポッドキャスト。2016年の年末を最後に更新が止まっており、再開は絶望的な番組であるが、深夜ラジオのテイストでフリートークを繰り広げる素人ポッドキャストのパイオニア。鋭利な切り口で会話を展開する岡野の変化球を、屈託のない純な笑いかたでキャッチする福田の一人爆笑のパターンは必聴。



僕たちだけがおもしろい


ねこ歌人=仁尾智とエロ歌人=佐々木あららによる環境音に近い人畜無害なだらだらトークを配信しているウェブ資源の無駄遣い。しかし、音声言語の妙をうっかり利用してときには巧みな企画を打ち立てることもある。毒にも薬にもならないゆるいトークをひたすら展開するポッドキャストのなかではかなり先駆であり、番組歴もシーズンをまたいでかなり長い。求めもしない雑学や、尋ねてもいないおもしろい話を聴きたいときにはうってつけである。眠くなるので運転中には聴けないが、睡眠導入剤に適しており、眠れない夜のお供として定評がある。



単語工場


もう名前も覚えていないが、外国人パーソナリティが毎週ひとつ英単語を覚えさせてくれる教養番組。いまは懐かしいビデオキャストという配信形態をとったこの番組は、僕が高一の時分に同級生に教えてもらった番組で、ポッドキャスト体験という意味で僕がヴァージンを捧げた番組でもあるが、残念なことに英語の勉強があまり好きではなかったため長い拝聴には至らなかったが、記念すべき入口として挙げておく。



三十代あずましくない乙女たち


アニメ語りや旅行談、二人で行った映画の感想など、持ち込み企画の多い番組ではあるが、ベースとなっているのは社会人としてクズなイチガキと人間としてクズなアリアドネの女性2人によるエピソードトーク型ポッドキャスト。素人ポッドキャスト番組としては極めて難しい位置づけのスタイルであるが、癖も嫌味もない奇跡の万人受け要素を持っている。声色、話し口調、会話内容、口癖、すべてが調和のとれたバランスで成立しており、一躍カリスマ的人気を得たが、惜しまれつつ2015年に配信終了。



たっちレディオ


作曲家=田代智一とミュージシャン=田淵智也による閉塞感打破レディオ。前身となる「田っ智レディオ(読み:おなじ)」のころから毎週ほぼ欠かさず配信されており、社会派ポッドキャスト黎明期を支えると同時に、『熱量と文字数』『弱目に祟られろ! レディオ』との公開収録など横のつながりは分野をまたいで広い。構成作家のデラさんが番組の運用や時事ネタのブレーンとなっており、常に時代の最先を試し続ける挑戦的な一面もある。



東京ポッド許可局


いまや人気芸人となったが、マキタスポーツ、プチ鹿島、サンキュータツオの三人が、売れないころからプライベートで撮り続けてついに地上波TBSラジオにのし上がった超人気番組。TBSラジオがポッドキャストから撤退したいまも、番組のアイデンティティであるポッドキャスト配信という媒体をかろうじて残してくれている。芸人とひとくくりに言えど活躍する分野は三者三様のパーソナリティたちの屁理屈は、れっきとしたエンターテインメントである。



弱目に祟られろ! レディオ


超人気音楽家であり、業界に8人いると言われる量産作詞業の名手=畑亜貴による鬱々音楽レディオ。マスコットキャラクターに据えられたのは『東京ポッド許可局』『熱量と文字数』のパーソナリティをはじめ、『たっちレディオ』の発起人でもあるサンキュータツオ。二人の掛け合いによる番組テーマ「日々のさりげない疑問」に、正解や解答がピシッと出るかどうかわからないところまで含めて非常に優れたバラエティ。畑亜貴の曖昧な部分にしっかり斬り込むサンキュータツオの司会業者ならではの立ち回りは聴いて癖になること間違いなし。



ジンきとぽてこの話せばわかる


大阪在住の男女二人組ポッドキャスターがお送りする「話し合いによる理解深め型ポッドキャスト」を標榜している。内実いわゆるフリートーク番組だが、時折レクチャー型の企画やエピソードトークも展開する。男女ポッドキャストというと「付き合ってんでしょ?」とか「デキてんのか?」という偏見が入るが、番組初期にはノルマ課されてんのか?と疑問に思うほど、ジンキから「彼女のわわわさんが〜」という発言が出るのでそういうにおいがしなかった。現在2人とも既婚。配信がマイペースになっているが、細く長く続けてほしい。



ハンニバル・レクチャー博士


世界の殺人鬼を毎週一人ピックアップして紹介する、殺人鬼紹介系のレクチャー型ポッドキャスト。ヒキガネ霜田と山内黒猫のダウナーなトークは、一人で聴くのに最適な、というか一人でしか聴けないレベルに達している。まぁ、番組の主題が主題だしね…。パーソナリティを両先生と呼んでいるが、ヒキガネ先生はポッドキャストを多数配信しており、ポッドキャスト配信においてかなりしっかりした一家言を持っている。それだけあって、番組品質はかなり高いクオリティを常に維持しており、単純にトークだけでもおもしろい内容になっている。とはいえ殺人鬼なんけど。



二箱目のパンドラ


ハンニバル・レクチャーの番組内の企画が独立し、コーナー特化型の雑談番組として誕生。ハンニバルレクチャーの姉妹番組に相当する。殺人鬼の紹介はしないが、非常に独創的なコーナーが多数軒を連ねており、廃盤になったコーナーも多いながらポッドキャストランキングでは上位に食い込む常勝番組。ヒキガネ霜田のワンマン番組としてのキャラメイクが強いかと思いきや、ハンニバルレクチャーからの黒猫派リスナーの支持も根強く、巧みなバランス感覚で番組を運用している。



九月三十日のデキゴト


9月30日、ポッドキャストの日に一日かけて収録されたRadiotalk発の小出し配信型番組のポッドキャスト版。ヒキガネ霜田と山内黒猫によるテーマトーク型の10分番組で、気軽に聴けるのがいい。ハンニバル・レクチャーや二箱目のパンドラとは、良く言えば絶妙、悪くいえば微妙にテイストが異なり、二人の人間性を良い意味はもちろん主に悪い意味で掘り下げてくれる。2年前に始まったにもかかわらずコロナの話をしない唯一のポッドキャスト番組。



境目線引


境目鶴丸と線引屋コレキヨの二人のラインマンが、世のなかで決められていない線引かれてこと、例えば「どっからが浮気なの?」「女湯に入っていいのは何歳まで?」みたいな曖昧な事柄に、ビシッと線を引いていく「線引きポッドキャスト」。2人のクズさ加減がわかる掛け合いは圧巻のひとこと。SNSのマナーを取り締まる「ソシャっ引き(旧SNSポリス)」や、世のなかから消したいフレーズを募集する「鶴キャン消去語大賞」、各種「太郎シリーズ」など、コーナーも魅力。



大大だげな時間


別名というか、番組名は『大阪の一般人によるPodcast』。柴山ケン・おかよの二人による本番組は、2015年あたりからグイグイ勢いを伸ばし、本場大阪の笑いで「大阪人の話は本当におもしろいのか」というコンセプトのもと発信されている。週5回の頻度で更新されていた過去を持ち、歴は浅いながらもポッドキャストのアーカイブ量は多い。また、サブジャンルとして映画語り系ポッドキャストの側面を持ち、映画の感想や魅力の雄弁に喋る語り口は好評を得ている。



ゆとりっ娘たちのたわごと


「スタバの端っこで女子が話してるような内容を盗み聞きできる」をキャッチに、アホ真面目な意識高い系のほのかとフィーリングで生きているかりんが繰り広げるよしなしごとバラエティ。企画力とメディアパフォーマンスに優れ、ゆとりの名を冠するディベート型ポッドキャストでは相当展開が鋭い。真面目に馬鹿やるので、聴いていると心の違和感をスッとズラされた感覚に陥り、それがリスニング作用として楽しい。



心の砂地


91年生まれのDJシャークくんと、94年生まれのT-lad(西武柳沢在住)による最強を目指すポッドキャスト番組。こういったテーマトークで話題を広げるタイプのディベート型ポッドキャスターは、人生の経験値と踏んできた場数を武器にするものの、内容を希釈した貧困な語彙での薄っぺらな論客が多い。しかし、本番組を務める若いパーソナリティ二人は、ゆとり世代に顕著な物憂さと弛けさを前面的に打ち出したゆるくてエッジィな切り込み口調で、バッサバッサと表現しているのがおもしろい。シャークくんのだるそうで過敏な神経をいい意味で軽く扱うT-ladの語り口が心地良い。



ネオ五条楽園


京都は五条楽園からお送りするヤブタとヨウイチによるツーカー雑談バラエティ。番組本編にBGMがないことや、二人の偏見によるしっかりしようとしない部分が垣間見えるからこそ、生々しく現実味があり、芸能人などプロのラジオ番組には出せない「盗み聴き感」が演出されている。ヤブタの突発的な企画力と丹念な計画性が生む番組運用は、ときとしてヨウイチを置き去りにするほどアイデアとしての柔軟性があり、それが番組のサイドワークとしてのグッズ制作などとも相乗して魅力となっており、実際それらはどれも非常に良質なものである。 



nikkieと井出綾香の終わらない話


シンガーソングライターのnikkieと井出綾香による本当に終わらない話。これほど端的に直球で表す番組名もなかなかない。ころころ転がる女子トークは深夜ラジオのフリートークを無限に聴いているよう。原則的に1エピソードあたりの再生時間が長いが、この番組はぜひ倍速にせずにそのままのテンポ感で聴いてほしい。プロの歌手業を営む二人だがそういった専門性はなく、ただ仲のいい二人の会話をエンドレスに聴いているがために、自分が聞き上手な男友達になったかのような錯覚にさえ陥る。



蒼井ラジオ


蒼井ブルーとその友達(カリスマじゃないほうの美容師)ぷら田によるラジオトーク発の10分間爆笑タイム。番組内で常識を担うところであるぷら田を変幻自在に振り回す蒼井ブルーの、勢いのある無茶苦茶なメガホンがなんとも愛しくおもしろい。ぷら田は蒼井ブルーの世界観に適合してるようでしておらず、視線の乖離でリスナーまで振り回される。しかし、もちろんそれは、オフレコではきっと歩み寄る仲の関係であることが拝察されることにしっかり裏付けされている。



ブルースピリットブルース


根暗な性格が通底するアラサー男女二人・藤木とシセルによる隔週更新ポッドキャスト。年齢のわりにニッチな方面に豊富さをもつ経験を二人ともが持っており、どこで学んできたかわからない偏見まじりの偏屈なトークは根暗カルチャーの芯の部分を掬ったよう。ひとむかしまえならブロガーでたびたびバズってるタイプ。音声でこういうひとたちが発信しているところに、二人の人間としての飛び抜けた相性の良さが見えて、それがたぶん唯一の明るい要素。



令和の作戦会議


平成の時代に取り残されたラジオパーソナリティの石川舜一郎と放送作家のコリちゃんが、令和での生きかたを考える社会文化系トークラジオ。毎週ひとつずつ持ち寄られるニュースの話題は、令和にふさわしい先鋭的でエポックメイキングなものが多いが、それがあとになって実質的に時代にフィットしていたかについては怪しいものも含まれている。実際聴いたときは「すげー!」と思っていてもひと月後には「あのサービス結局聞かへんな」とヒットしなかった事例が多々ある。それでも二人の掛け合いはおもしろく、ニュースへの切り込みかたがアラサーの典型例で、聴いていて安心する。



トーキョーOLダイアリー


なんでそんなにユニゾンできるんだと感心してしまう、あっかとジェニーによるOLラジオユニット。グータラでダラダラな配信が、二人の言語性がキリッと一致するとき、言葉のユニゾンとともに瞬間的に引き締まるあの一瞬は幻だろうか、リアルだろうか。呑み屋に一人はいるこういうテンションの女性をよりにもよって二人集めたらこうなるんだ、っていう学びはきっと一生活かす間もないが、極めてシンプルに、聴いていて乾杯したくなる。お酒を飲めない下戸の僕を飲みに連れて行く扇情性がある気がするけど、緊急事態宣言が続くため実現には至っていない。



おそらく役立つ四字熟語・ことわざ講座


なんでそんな語り口でしゃべるのかもわからないうえに、一生登場の機会がないことわざや四字熟語を紹介されるので、ある意味じゃインパクト抜群な番組である。アートワークに描いてあるとおりのギャルがしゃべっていてほしいとは本当に切に願う。番組内で紹介された語彙がひとつとして記憶に残らないのはむしろすがすがしい体験であり、ラジオというのは話し手の人間性による部分が大きいのだと痛感する。そういう意味でもパーソナリティであると思う。



美脚と三つ編みの時⭐︎MAKE放送局


関西のカフェで、もしかしたら収録をしているかもしれないこの二人にうっかり出くわしてしまうかもしれないし、そうなったら良いなあと思わせてくれる親近感が魅力のツーカートーカーズ。…だったはずなんだけど、最終回に進むに連れて二人の仲の悪さがグラデーションを描くように露わになっていって、次第に険悪な雰囲気を感じさせる様子を惜しげもなく配信している。最終回なんてぱんと葵が喧嘩腰で終始収録を徹底する好戦的なスタイルが良いのか悪いのかわからなかったが、ぱんの可愛さと奇異性、葵の聡い努力によって保っていた赤裸々な番組だった。その赤裸々なトークに救われた男性はきっと多いはず。




映画の話をしているのに必ず脱線して違う話になるポッドキャスト


どういう教育を受けたらこんなに直進的でブレのない番組名が思いつくんだと考えるくらい、思いつきと閃きといい惰性で車輪がまわっている。ちゃんまいの気怠げなオープニングコールから始まり、ちゃんくみのベビーが時折音声で参加するなど、自由なエピソードトーク型ポッドキャストの原型をそのまま体現しているため忘れがちだが、れっきとした映画語り系のディベート型番組である。一発録音を編集なしで配信するストロングスタイルは、時折ブチッという急な終わりかたもするが、それも込みで盗み聴きをしているようで心地良い。




OVER THE SUN


TBSラジオの舌戦の名手ことジェーン・スーとアナウンサー堀井美香によるアラフォーアラフィフのための人生のすゝめ。女に生まれてもこんなおばさんにはなりたくない気がするが、こんなおばさんだったら毎日が戦だろうなとはある意味納得である。『相談は踊る』『生活は踊る』をポッドキャストで聴いていた立場からすると、TBSラジオの例の件が去ったあとによくぞここまで戻ってきてくれた、という感じ。男も女も関係ない、甲冑は着たり脱いだりするし、いつまでも若くいられないし、プロポーズもされない。でもそれらすべてを肯定してくれているかのようで、頼もしい。




『奇奇怪怪明解事典』『女の子のここだけの話』『トッキンマッシュのネットラジオ』『タダしいYouに見える』『湯あがりポットラック』『すこしふしぎナイト』『さくら通信』『なんであのとき放送局』……書ききれなかった番組がまだまだ数あるけれど、0時になってしまった。おしまいにする。

10月も生きてこ! ラジオ聴こ!


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好きな言葉は「アイスクリーム4割引」、嫌いな言葉は「ハーゲンダッツは対象外」です。趣味はドラえもん考察。読売ジャイアンツのファン。高2のとき現代文の全国模試で1位に輝くも、数学に関しては7の段があやしいレベル。

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